「俺たち、墓穴掘ってんのかな……」
という、二宮君演じる西郷の台詞がとっても印象的でした。

実際に大勢の兵士たちが、硫黄島の穴の中で、ある者は火炎放射器で焼かれ、またある者は手榴弾や銃で自ら命を絶ち、死んでいったわけですから。

「捕虜になることもやむなし」とするアメリカ人に対し、「捕虜になることを恥じ」とする日本人。
つまりは生きて故郷に帰るためには、戦争に勝つしかないわけですが、それが不可能となりますと、あとはもう死ぬしかない。
そんなこんなで敗色が濃くなってからの日本の前線基地では、「アメリカ軍上陸」→「万歳突撃」→「玉砕」という展開が当たり前のようになっていました。

そうした中、日本本土を背にした硫黄島での戦いは、渡辺謙さん演じる栗林中将の采配のもと、地下にもぐっての死闘が繰り広げられたわけですが、
「5日で終わると言われたが36日間も持ちこたえた」
「硫黄島戦ではアメリカ軍の死傷者が日本軍のそれを上回った」
なんて数値的なことに感心する前に、現場の悲惨さをこの映画で多少なりとも感じて頂きたい。

大本営からも見捨てられ、援軍は来ない。
狭くて、暗くて、熱くて(場所によっては60度に達したとか)、不衛生で、食料も水もない中、本土攻撃を一日でも遅らせるためだけに戦い続けるなんてこと、とても不可能だと思うのですが、硫黄島の日本兵たちは、それを本当にやってのけた。

最後の5日間は本当に飲まず食わずで戦ったそうです。
そしてことごとく死んでいった。
今も硫黄島には1万3千余の遺骨が回収されずに残っているそうですが、戦後から61年が経過した今、この悲惨な事実に光を当てたのが日本人ではなく、アメリカ人だったというのは、何だか複雑です。

日本人は日本の歴史(特に昭和史)を知らなすぎる。
愛国心教育の前に、日本という国が日本人に何を強いてきたかを、きちんと学校で教えるべきだと思います。
と、いつになく力がこもってしまいましたが、映画が終わるとともに静かな感動が込み上げてくる傑作です。

是非、観て頂きたい!